阪神電鉄バス 浜甲子園線
JR甲子園口〜阪神甲子園〜浜甲子園【循環】
甲子園地区を南北に結ぶ路線

【路線概要】
JR甲子園口から阪神甲子園を経て、浜甲子園地区を循環し、阪神甲子園・JR甲子園口へ戻る路線。
バスはJR甲子園口駅の南口、三和銀行前から発車し、 駐車車両も多い甲子園口商店街をゆっくりと徐行しながら進む。 この商店街の道路は昭和45年頃から南行き一方通行になっており、 阪神甲子園方面へ行くバスだけが走り、 JR甲子園口へ行くバスは、ここから東へ数百メートルの川沿いの道を北進して甲子園口へ向かう。
甲子園商店街バス停を過ぎると、国道2号線の上甲子園交差点から甲子園筋を南進し、 上甲子園、甲子園二番町、甲子園三番町、甲子園五番町と過ぎていく。
この甲子園筋は正式には県道浜甲子園甲子園口停車場線と言い、 かつてこの道路には阪神電鉄の軌道線の一つ、甲子園線が走っていたが、 昭和50年5月に廃止されている。
また、この道路沿い一帯はかつては枝川という武庫川の支流の河川で、大正末期に武庫川の改修工事により 枝川が廃川となった時、阪神電鉄が付近一帯を買収し、高級住宅地として開発したところでもあり、 現在でもその面影を残している。
甲子園五番町を過ぎると、阪神甲子園のバスターミナル4番のりばに到着する。
時間調整をしたのちに、右手に阪神甲子園球場を望みながらバスは再び甲子園筋を南進する。 阪神甲子園から1キロ進んだ臨港線との交差点では、午前中ならバスは競輪場方面へ右折し、 午後ならそのまま直進して甲子園九番町へと向かう。
かつては浜甲子園から浜甲子園三丁目、中津、月見里、競輪場への一方通行の系統であったが、 10年ほど前から午前と午後とで経路を変更するように改められている。 このように浜甲子園地域を巡回して、ふたたび阪神甲子園、JR甲子園口へと戻っていく。

また、このJR甲子園口−浜甲子園循環の他にも、左の写真のように浜甲子園発上甲子園行という バスも存在している。これは早朝始発に片道のみの運転となっているが、昭和50年の甲子園線廃止の 代替路線として開設された路線で、昭和50年の開設当時には、浜甲子園−上甲子園間で早朝から 朝ラッシュ時(おおむね9時頃まで)と、17時〜20時頃の夕方ラッシュ時に、1時間あたり 6〜8本程度運転されたものの、甲子園線の廃止後の利用者が定着せず、わずか数年で大幅減便され、 その後はこの早朝便を除いて阪神甲子園−浜甲子園間の運転を残すのみとなっていたが、 数年前にはとうとうこの浜甲子園発上甲子園行の片道便だけとなってしまった。
この上甲子園行のバスは、浜甲子園バス停の南、旧電停付近にある折り返し設備を備えた停留所から出発し、 甲子園筋を北進、阪神甲子園では宝塚行と同じ10番のりばに止まって上甲子園へと走るのだが、 途中、鳴尾御影線と交差する甲子園三保町交差点で左折して 進行方向を西へ変え、春風小学校の南側、中津浜線、瓦木交差点を経て国道2号線へ入り、 国道2号線の(国道)上甲子園停留所に到着するというコースをたどる。
運賃は210円の均一料金。

【運行状況】

JR甲子園口−浜甲子園間の系統は、おおむね終日20分間隔で運行され、 朝・夕ラッシュ時には阪神甲子園−浜甲子園間の区間運転もある。
先述した浜甲子園−上甲子園間の片道1便のみの路線は浜甲子園発の始発便で、 これは阪神の軌道線・甲子園線の代替バスの名残。 このバスは、上甲子園に到着すると行き先を白色方向幕の阪神甲子園行きに変更して、 ふたたび甲子園筋から阪神甲子園へと戻っていく。
運行本数、運転間隔はここ数十年間変化が無く、軌道線の代替バスのみが大幅減便されているだけ。
【往復運転本数】
JR甲子園口〜浜甲子園【循環】平日48、土曜48、休日44
阪神甲子園〜浜甲子園【循環】平日35、土曜31、休日20
合計平日83、土曜79、休日64

この他、浜甲子園発上甲子園ゆき 片道1便
上甲子園発、阪神甲子園ゆき 片道2便
【浜甲子園線の歴史】

大正15年(1926年)7月16日、甲子園−浜甲子園間に阪神電鉄の甲子園線が開業し、 昭和3年7月11日、甲子園−上甲子園間の開業により浜甲子園−上甲子園間の運転が開始される。
昭和4年12月1日には、浜甲子園−上甲子園間の阪神電鉄直営の甲南バスが開業し、 電車とバスがこの区間を平行して運転されてきた。 その翌年には甲子園ホテル(現在は武庫川学院第三学舎)の開業に従い、 上甲子園から甲子園ホテルまでが延伸されている。
この甲南バスは昭和8年3月25日に、阪神電鉄の子会社「阪神乗合自動車」に営業権を譲渡し、 電車とバスがこの区間を平行して運転されていたが、バスのほうは太平洋戦争中に運行を休止、 戦後になり、昭和25年(1950年)6月6日、阪神電鉄の直営により、 戦時中から休止していた阪神乗合自動車の甲子園線を復活させ、国鉄甲子園口−浜甲子園間の運行を開始した。
以後、昭和45年には甲子園口付近を一方通行運転と同時にワンマン化を実施、 昭和50年5月6日には阪神電鉄の甲子園線が廃止されたのと同時に、浜甲子園−上甲子園間で朝・夕のラッシュ時に 代替バスの運行を始めたものの利用者は定着せず、数年で大幅に減便された。
その後、浜甲子園の循環部分を従来の浜甲子園から浜甲子園三丁目方面への時計回りの一方通行運転から 午前は逆回り、午後は浜甲子園先行での運転に改め、現在に至っている。

データはいずれも1999年5月現在。



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